ストロベリーチーズケーキアイス・kiss~甘酸っぱい恋の味~
「ねぇ…下ろして…」
まだ授業中の為、静まり返った廊下をあたしを抱えたまま歩くシューズの音が静かに響く。
「聞いてる?ねぇ」
「うるさい。怪我人は黙ってろ」
一瞬、なんだか懐かしい感じがした。
気のせいかな?
不思議な気持ちで眺めた右斜め上にある聡くんの顔が、なんだか男らしく見えてトクンと鳴った。
やだ…。なに意識してるのよ?
なんだかむずがゆい感情に、スーッと視線を移した時だった。
「どうしたんだ?」
そこには、なにがあったんだと駆け寄る先生がいた。
なんで…いるのよ?
聡くんから抱きかかえられているのが罰が悪いことのように思えて、あたしはパッと下を向いた。