ストロベリーチーズケーキアイス・kiss~甘酸っぱい恋の味~

“ねぇ、聞いて。ゆうちゃんがね、「俺の車の助手席はお前だけの特等席だよ」って言ってくれたの”


いつか、お姉ちゃんがそう言って喜んでいた顔を思い出した。



“バカップル”


あたしはそう言ってその場を逃げた。


フツフツとあたしの胸を騒がす真っ黒な感情から逃れる為。


そして今もその真っ黒な感情が蠢いている。



“お姉ちゃん。あたしね、先生の助手席に座ったんだよ。お姉ちゃんだけの特等席に座ったんだよ”


そう言ったらお姉ちゃん、どんな顔するのかな?



なんて…。返ってくる言葉なんて決まってるのに。


“よかったね。ゆうちゃん優しいから”


そう言って笑うだろう。

だって、あたしはお姉ちゃんの妹。


ライバルでさえ、想われていないんだ。



< 70 / 232 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop