ストロベリーチーズケーキアイス・kiss~甘酸っぱい恋の味~
“ねぇ、聞いて。ゆうちゃんがね、「俺の車の助手席はお前だけの特等席だよ」って言ってくれたの”
いつか、お姉ちゃんがそう言って喜んでいた顔を思い出した。
“バカップル”
あたしはそう言ってその場を逃げた。
フツフツとあたしの胸を騒がす真っ黒な感情から逃れる為。
そして今もその真っ黒な感情が蠢いている。
“お姉ちゃん。あたしね、先生の助手席に座ったんだよ。お姉ちゃんだけの特等席に座ったんだよ”
そう言ったらお姉ちゃん、どんな顔するのかな?
なんて…。返ってくる言葉なんて決まってるのに。
“よかったね。ゆうちゃん優しいから”
そう言って笑うだろう。
だって、あたしはお姉ちゃんの妹。
ライバルでさえ、想われていないんだ。