ストロベリーチーズケーキアイス・kiss~甘酸っぱい恋の味~
壊れていく恋
ついに言ってしまった。先生が好きだって…。
何か言ってほしくて先生の顔を見た。
少しして返ってきた言葉は
「俺も好きだよ。恵里佳のこと。けど…」
悲しみ、戸惑い。
先生の瞳は嬉しい瞳じゃなかった。
「分かってるよ。先生にとってあたしが生徒で妹でしかないってことを…」
長い沈黙が流れたあと、程なくしてあたしの家の前に車を止めた先生。
その瞳は、なんだか遠くを見ているよう。
長い沈黙。
先生は、あたしの告白を聞いてから、ずっと黙ったまま。
…だよね。困るよね。まぁ、予測していたことだから。
ショック…なんかじゃないよ…。
先生が、あたしを見ないからって…ショックなんて…受けてない…。
「じゃあね。先生。送ってくれてありがとう」
あたしはそう言って後部座席からどうにかして松葉杖を取ると
先生から逃げるようにドアを開けて転ばないように車から降りようとした。その時
「待て」
伸びてきた大きな手のひらは、あたしの腕をガシッと掴んだ。
「送るから」
最後まで“先生”でいる先生の顔に、あたしは言葉をなくし心の中で静かに泣いた。