ストロベリーチーズケーキアイス・kiss~甘酸っぱい恋の味~
「鍵は?」
「鞄の中です。前ポケットの中…」
「開けるぞ」
「はい」
義務的な会話がぎこちなくて虚しかった。
あたしの鞄を先生が開けている変な光景も
玄関の鍵を開けて最後まで“先生”として接するあなたの姿勢も
これが只の先生と生徒の関係だったら、凄くいい先生に出会えてあたしは幸せだって
きっとそう胸張って言えるのにな…。
あたし…なんであなたのことを好きになっちゃったのかな…?
「じゃあ、俺はこれで帰るな。ちゃんと休んでるんだぞ」
「…はい」
「じゃあ、またな」
そう言って背を向ける先生を俯いたまま見送った。
玄関のドアが閉まり、先生の車が動き出した瞬間。
「…うぅ…」
こらえていた涙が一気に溢れ出し、あたしは、思いっきり声をあげて泣いた…。