ストロベリーチーズケーキアイス・kiss~甘酸っぱい恋の味~
「そうだよ。10月に挙式だって」
そう言うと、瞳に大きな涙を溜めてキュッと唇を噛み締めて教室を出て行く彼女。
よく分かるよ。なんて言葉はかけなかった。
他にも、彼女みたいにショックを受けながらあたしに聞きに来た女の子達が数人いたことを、先生はきっと知らずに幸せを噛み締めているんだろうな。
罪な男だね。先生は。
「罪な男だね。先生は」
あたしと同じことを考えていた子がもう一人。
「由希もそう思う?」
いつの間にかいた由希に聞くと、当たり前だよと唇尖らせた。
「一番辛いの、恵里佳じゃん」
さすが親友。よく分かってくれて嬉しいよ。
「泣きたい時はいつでもいいな?肩、貸してあげるからさ」
由希の優しさに救われた1日だった。