市立第五中学校。
出席番号
1番 相川夢華
通学
私は中学受験に失敗した
本当なら近所の学校に通うはずだけど
気まずいから隣町の中学校に
電車で通っている。
市立第五中学校
校庭は広くて部活もたくさんある。
荒れてるわけでもないけど
騒がしい。
そんな学校
いつもの朝
だけど今日はまた一段と暑い
駅のホームで各駅停車を待つ
人身事故で電車が遅れてるらしい。
こんな暑い中、待たなきゃいけないなんてうんざりだ。
ドンッ
何かが勢いよく私の身体にぶつかった。
「あ、すいません」
背の高い男の子だった。
真っ黒な髪に綺麗な顔立ち
洗濯したてのシャツから
いい匂いがする。
「もしかして第五中?」
話しかけられた。
「え?…はい」
すると彼は微笑んだ
「俺、あそこの卒業生なんだ」
高校生だったんだ。
「学校楽しい?」
私は悩んだ。
正直、全く楽しくない。
友達はいないし
部活はやってないし
憧れてた中学校生活とは
全く違う…
何もかも受験に落ちたせいだ
でもそんなことを言ったら
これで終わってしまう気がして
「はいとても」
「そっか!部活とかやってるの?」
―まだあなたと話していたい
ホームに女の人の声が鳴り響く。
『おまたせしました。まもなく1番ホームに電車が参ります』
「部活はやってません」
「俺もやってなかったよー」
このひと楽しい。
なんか、嬉しい。
ドキドキしてる。
次はどんな質問がくるんだろう?
期待してしまう。
『電車が参ります。ご注意ください』
「君、となりの桜河駅で降りるんだよね?」
私は頷いた。
「俺、急行で銀杏駅まで行くからここでバイバイだね」
「え」
…
「君、なんて名前?」
「!ゆ、夢華です」
「夢ちゃんね!」
電車のドアが開く。
「また明日!」
電車は、ガタンと動いた。
彼は大きく手を振ってくれた。
あたしは嬉しくて、少し泣いてそれから
小さく手を振った。
また明日。
私は中学受験に失敗した
本当なら近所の学校に通うはずだけど
気まずいから隣町の中学校に
電車で通っている。
市立第五中学校
校庭は広くて部活もたくさんある。
荒れてるわけでもないけど
騒がしい。
そんな学校
いつもの朝
だけど今日はまた一段と暑い
駅のホームで各駅停車を待つ
人身事故で電車が遅れてるらしい。
こんな暑い中、待たなきゃいけないなんてうんざりだ。
ドンッ
何かが勢いよく私の身体にぶつかった。
「あ、すいません」
背の高い男の子だった。
真っ黒な髪に綺麗な顔立ち
洗濯したてのシャツから
いい匂いがする。
「もしかして第五中?」
話しかけられた。
「え?…はい」
すると彼は微笑んだ
「俺、あそこの卒業生なんだ」
高校生だったんだ。
「学校楽しい?」
私は悩んだ。
正直、全く楽しくない。
友達はいないし
部活はやってないし
憧れてた中学校生活とは
全く違う…
何もかも受験に落ちたせいだ
でもそんなことを言ったら
これで終わってしまう気がして
「はいとても」
「そっか!部活とかやってるの?」
―まだあなたと話していたい
ホームに女の人の声が鳴り響く。
『おまたせしました。まもなく1番ホームに電車が参ります』
「部活はやってません」
「俺もやってなかったよー」
このひと楽しい。
なんか、嬉しい。
ドキドキしてる。
次はどんな質問がくるんだろう?
期待してしまう。
『電車が参ります。ご注意ください』
「君、となりの桜河駅で降りるんだよね?」
私は頷いた。
「俺、急行で銀杏駅まで行くからここでバイバイだね」
「え」
…
「君、なんて名前?」
「!ゆ、夢華です」
「夢ちゃんね!」
電車のドアが開く。
「また明日!」
電車は、ガタンと動いた。
彼は大きく手を振ってくれた。
あたしは嬉しくて、少し泣いてそれから
小さく手を振った。
また明日。