市立第五中学校。
6番 加藤汐里
友達
親友の樹里菜が
昨日からいじめられるようになった
―きっと西田さんを庇ったからだ
クラスのボス的存在の笹河は
容姿が華やかで目立つ西田さんを憎んでいた
私から見たら
ただのひがみじゃんって思うけど
みんなは違った。
みんな西田さんを嫌っていた
西田さんは毒舌だし
ものをはっきり言うからだと思う
樹里菜は
そんな西田さんを放って置けなかった
西田さんはあまり気にしてない様子だったが
この前、泣いた。
「辛かった」って
「ありがとう」って。
樹里菜と私で慰めた
――昨日
私は風邪で休んでいた
樹里菜が西田さんを庇い
そんな彼女達を見て
笹河はこう言った
「じゃあ樹里菜が代わりになってくれる?」
樹里菜は頷いた
樹里菜らしいけど
私は悲しいよ。
樹里菜は西田さんの時より酷いいじめを受けた
ただ泣きながら見ているだけの私に樹里菜は助けを求めなかった
きっと樹里菜は
私を巻き込みたくないんだろう
そんな樹里菜の優しさに
私はもっと涙が溢れた
―樹里菜
ごめんね。
私の力じゃ
どうすることもできないよ…
数日経ったある日
笹河は樹里菜にカッターを差し出した
「深く切って。赤い絵の具足りなくなっちゃってさ」
と笑いながら1枚の絵を取り出した
紙いっぱいに林檎の絵が描かれていて
赤色で塗り潰したいという
「これはさすがに酷いんじゃ…」
みんなが呟く
私は怒りに震えていた
西田さんは樹里菜を見向きもせずに小説を読んでいる
樹里菜はあなたのために自分を犠牲にしたんだよ?
私は黙っていられなくなった
「馬鹿じゃないの!?」
机を叩いた音が教室に響く
冗談じゃない。
こんなに樹里菜を苦しめて
許せない
私は平手で笹河を叩いた
「な…」
そして西田さんの胸倉を掴み
「何様だよ」と呟いた
「汐浬!」
樹里菜の目から
大粒の涙が落ちた
私も泣きそうになった
樹里菜の手を引いて
屋上へ駆け出した
屋上には
青く澄んだ空が
まるで私達を
慰めてくれるかのように
大きく
広がっていた
親友の樹里菜が
昨日からいじめられるようになった
―きっと西田さんを庇ったからだ
クラスのボス的存在の笹河は
容姿が華やかで目立つ西田さんを憎んでいた
私から見たら
ただのひがみじゃんって思うけど
みんなは違った。
みんな西田さんを嫌っていた
西田さんは毒舌だし
ものをはっきり言うからだと思う
樹里菜は
そんな西田さんを放って置けなかった
西田さんはあまり気にしてない様子だったが
この前、泣いた。
「辛かった」って
「ありがとう」って。
樹里菜と私で慰めた
――昨日
私は風邪で休んでいた
樹里菜が西田さんを庇い
そんな彼女達を見て
笹河はこう言った
「じゃあ樹里菜が代わりになってくれる?」
樹里菜は頷いた
樹里菜らしいけど
私は悲しいよ。
樹里菜は西田さんの時より酷いいじめを受けた
ただ泣きながら見ているだけの私に樹里菜は助けを求めなかった
きっと樹里菜は
私を巻き込みたくないんだろう
そんな樹里菜の優しさに
私はもっと涙が溢れた
―樹里菜
ごめんね。
私の力じゃ
どうすることもできないよ…
数日経ったある日
笹河は樹里菜にカッターを差し出した
「深く切って。赤い絵の具足りなくなっちゃってさ」
と笑いながら1枚の絵を取り出した
紙いっぱいに林檎の絵が描かれていて
赤色で塗り潰したいという
「これはさすがに酷いんじゃ…」
みんなが呟く
私は怒りに震えていた
西田さんは樹里菜を見向きもせずに小説を読んでいる
樹里菜はあなたのために自分を犠牲にしたんだよ?
私は黙っていられなくなった
「馬鹿じゃないの!?」
机を叩いた音が教室に響く
冗談じゃない。
こんなに樹里菜を苦しめて
許せない
私は平手で笹河を叩いた
「な…」
そして西田さんの胸倉を掴み
「何様だよ」と呟いた
「汐浬!」
樹里菜の目から
大粒の涙が落ちた
私も泣きそうになった
樹里菜の手を引いて
屋上へ駆け出した
屋上には
青く澄んだ空が
まるで私達を
慰めてくれるかのように
大きく
広がっていた