空の色


空良との何気ないやりとりが好きで一人でニコニコ笑っていたら


フッと顔に影がかかった


もちろん次に何が来るのか分かってるので目を閉じて、私の大好きな感触を待つ


次の瞬間にはその感触を唇に感じてさらに幸せでいっぱいになる


でもその感触は案外すぐに離れていってしまって正直寂しい


普段自分からおねだりなんてしないけど…


今日はバレンタインだし、いいよね?


抱きしめられていた空良の腕は私の体から離れていってそのまま去っていこうとする空良の服の裾を掴んで引っ張る


それに気づいた空良はすぐに振り向いてくれる


こんなぶりっ子みたいなこと、普段はやらないけど(と本人だけ思っている)今日だけ特別


顔はうつむきがちで、でも上目遣いで空良の顔をじっと見つめる


空良は振り返った瞬間、私の目を一瞬だけ見て息が止まったのように見えた


と思ったらすぐに距離を詰めてきた


いつもみたいな、触れるだけの優しいキスではなく


欲望と理性が戦っているような、切羽詰まったキス


一瞬、ここがまだ学校で部活の生徒がまだ残っていることを忘れるようなキス

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