ありがとう、さようなら
式場を出ようとすると、後ろから呼び止められた。
「小林桜花さんですか?」

振り向くと、大学生ぐらいの男性がいた。
ああ、真由のお兄さんだ。
私は、すぐにそう思った。

「はい、私は小林桜花ですけど…」
「真由の兄の信孝です。遺書にあなたのことが書いてあって。」
私は驚いて、目を見開いた。
「私のことが?」
彼は悲しげに笑い、
「ありがとう、と。」

それだけを伝えに来たのか、彼は去っていった。

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