ありがとう、さようなら
十年後
【桜花side】
私は、24歳になった。
大学在学中に一年留学した私は、今年大学を卒業した。
私は、その報告のために真由のお墓を訪れた。

お墓に水をかけ、花を替えて線香に火をつけた。
そして、お墓の前で手を合わせた。

真由、私卒業したよ。
採用試験にも受かって、働けるようになった。
私ね、教師になったの。
少しでもいじめのない学校生活を作りたい。
真由のような生徒が出ないように。
簡単なことじゃないってわかってる。
けど、真由の悲しい思いを後世にも伝えたい。
いじめで辛い思いをするのは、本人だけじゃないってことも。
だから、空から見守っていてね。

そっと目を開け、私は立ち上がった。
すると

ザァッッ

少し強い風が吹き、近くに咲いていた桜の花びらを舞あげる。
かすかに聞こえたのは空耳か。
けど、確かに真由の声だった。
どっちでもいい。
私は、真由の言葉だと思っているから。

私は、前を向いて歩き始めた。


”桜花なら大丈夫!頑張れ!応援してるよ”
その言葉を胸に抱きながら。
< 32 / 32 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:1

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop