PALL MALL
「ちょっ…おい!引っ張るなって!」
「あはは!早く早く!」
俺が必死に止めようとしても女の子は立ち止まらない。
「着いたぁー!」
「……この近くに美優がいるのか?」
俺が連れて来られたのはブランコが2つだけある小さな公園だった。
「…ねぇ、啓介さん。」
女の子は俺の質問に答えずに話し掛けてきた。
「美優にあったらさ、なんて言うの?」
「…分からない。美優に会ってから考えるよ。」
俺はそう答えることしか出来なかった。
「…じゃあ、1つだけ………絶対に謝っちゃダメだよ…。」
女の子が俯きながらそう言った。
「なんで…?」
「…美優がそれを望んでいないから。それにさ、苦しいじゃん……謝られると。」
「…分かった。」
本当は謝りたかったけど…。
「…美優はいつ来るんだ?」
それが気になる。
「…もういるよ。」
「…え?」
女の子は1度空を仰ぎ、こっちを向いた。
「あたしが美優だよ…お父さん。」