PALL MALL
「…え?」
ウ…ソだ。
さっきから一緒に話してたこの子が美優だなんて…。
「ウソじゃないよ…。あたしがお父さんとお母さんの間に産まれた子供…美優だよ…。」
美優はそう言って、自分のポケットからタバコを取り出し火を点けた。
「ねぇ…さっき言ってたよね。自分の娘がタバコを吸ってたら叩くって。…叩いてよ。」
「なんで…。」
なんで16年ぶりに会えた娘を叩かないといけないんだ…。
「叩いてよ…。」
美優はもう1度言った。
「…っ……出来ない!」
出来るわけがない…。
その答えを聞いた美優は俯いて黙ってしまった。
2人の間に沈黙が流れる。
列車の時は全然苦痛じゃなかったのに…今は胸が痛い。
「…あたしね、お父さんに怒られることに憧れてたんだよ。」
長い沈黙を破ったのは美優だった。
「ずっと本当のお父さんに……会いたかったんだよ。」
美優は涙を流しながら話し始めた。