PALL MALL
美優が加えたタバコが地面に落ちる…。
手がビリビリする…。
美優の頬が赤く染まっていく…。
「えへへ……痛いよぉ。」
美優は涙混じりの笑顔を俺に向けた。
その顔を見た瞬間、俺は心臓がギュッと締め付けられた。
親が子供を叩くとこんな気持ちになるんだろうか…。
自分の手を広げて見てみる。
初めて娘を叩いた手のひらは赤く、震えていた。
そんな俺の手のひらに、ふと手が置かれた。
「…お父さんは、何も悪くないよ。お父さんはあたしのワガママを聞いてくれただけ。……ありがとね。」
その言葉が胸に響く。
美優は俺の願い通り、美しく優しく育ってくれた。
かすみは美優をそんな風に育ててくれた。
今度は俺の番だ…。
俺は美優の体を引き寄せ、思い切り抱き締めた。
そして、
「今度はお父さんが美優たちを守るから…。もうタバコも吸わなくていい。お父さんはずっと美優たちの傍にいるから。」
一家の主としてこの家族を守っていく事を誓った。