PALL MALL
「お母さ〜ん。」
美優がかすみを玄関に呼んだ。
ドタドタと足音が近付いてきた。
そして、
「ど〜したの美優…って…………け、啓介…?」
かすみは目を見開いたまま止まった。
…全然変わっていない。
あの頃より少しシワが出てきたみたいだけど、それでも36歳にしては若く見える。
「…全然変わんないな。……ただいま、かすみ。」
どこか照れくさくて笑ってしまった。
「…啓介?本当に…?」
かすみはまだ信じられないと言った感じだ。
「本当だよ…お母さん。」
そんなかすみにそう伝える美優。
改めて2人を比べてみると本当にそっくりだ。
「…美優はかすみ似だな。」
「…うん。……啓介、会いたかった。」
そう言ってかすみが抱きついてきた。
「俺もだ…。」
かすみを強く抱き締める。
「…かすみ。」
「…な〜に?」
「…結婚式、挙げよう。」
昔2人でしたあの約束を叶えよう。
「……うん。」
〜END〜