王様の、言うとおり



「………あぁー!」



思い出してつい、大声を上げてしまった。


そうだ。



今日から地方大会に出発する生徒を見送るから忘れずに集合するように、と


帰りのHRで連絡があったのが昨日の話。


ブーブー文句を言う生徒に担任が『恨むなら先生を恨むなよー勝ち上がりやがった部活の奴らを恨めー』なんて言ってたなぁ。

明日は早く行かなきゃいけない、昨日までは覚えてたはずなのに……!



寝たらすっかり忘れてた!



慌てて窓から離れて時計を確認すれば30分。



着替えてもない、ご飯も食べてない、髪も……


15分じゃ絶対に間に合わない!



とにかく、急がないと……!




15分後。


バタバタ息を切らしながら家を出た私の前には、きっちり制服を来た、隣人が。


涼しげな顔して我が家の苗字が刻まれたプレートがある壁の隣に背中を預けてました。


そして出てきた私を見るなり、笑い出して。



……分かってますよ。私の髪を見て笑ってる事位。

『素敵な髪型。』

「っ……!どうも。」

しょうがないじゃん。



時間が無いんだもの。


遅刻することも出来るのにそうせずに出てきたんだもん。


誉めてもらいたい。




……遅刻する勇気が無かっただけですけど。





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