王様の、言うとおり
私はちゃんと言ったのに!
自分達がどうなるのか分からないと言う不安からなのかもしれませんが、心なし金魚達の動きが鈍って来たような気が……!
「とりあえず、今日は洗面器にでも入れといて。明日水槽と餌買いに行けば?」
『早くしないと死んじゃう!』
「大丈夫大丈夫。」
……他人事だ。
『せっかく取って貰ったのに、こんな所で死んじゃうなんて嫌だよねぇ……?』
目線の高さの金魚に問い掛ける。
可哀想に。もっと飼う意欲の強い人の所へ行ったら大きい池とかで過ごせたかもしれないのに。
「……世話、菜月がする?」
『へ?』
突如、覗いていた金魚の袋の向こうに見えた黒い髪。