王様の、言うとおり



反対側からキングが覗いていました。

「世話。菜月がする?」

『だから、私の家は飼えないって……。』



「来て。」



すっ、と私の指に引っ掛かっていた袋の紐を掴み取る。

私の手から離れて更に上に上がった袋。

袋の行き先を見つめるより先に、キングによって発された意味の分からない一言。

キングは既にドアに鍵を差し込んで開いていました。



そのまま私の方を見ることなく入っていくキング。



限界まで大きく開けられた後、だんだんと戻っていくドアが、私にも入って来いと告げていると分かりました。



急いで2、3段の段差を駆け上がりドアが閉まる前に滑り込みます。



「持って部屋。」





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