王様の、言うとおり
さすがに腕が苦しくなってきました。
どこか、安全な所に置けないか、と思うけれどそんな所は無く。
ドアノブが良いかな、って一瞬思ったけれど、向こうから開けられた時に滑り落ちてしまう事に気付いて却下。
と、ドアを見ていたらちょうどキングが入って来ました。
手には、何か段ボール箱。
『何ですか?それ、』
段ボール箱から目を離さずに聴きます。
「……あった。」
部屋に入って私の位置を確認して、それだけ言うと私の腰辺りまでしかないチェストへと歩いていきます。
ガザガサ段ボールを開けて、取り出すキング。
中に入っていた物がチラっと見え、何なのか分かって、私は立ち上がりました。
『水槽!』
中から出てきたのは、段ボール箱の古いイメージとは全く違う新品じゃないかって位綺麗な水槽。
ちゃんとビニールがかけられていて埃もありません。
『水槽持ってるなら言ってくれれば良かったのに。』
「やだ。本当は飼いたくない。」
水槽を持ってる癖に持ってない私に押しつけようとしたんだ……!