王様の、言うとおり
キングの言葉を思わず繰り返せばふい、と前に戻ってしまいました。
私はここなら金魚の様子を見ていられるから、安全、と捉えたのですが。
その時言ったキングの言葉の本当の意味と、言った時のキングの表情に気付く事はありませんでした。
「とにかく。水。」
『えぇー……。』
「あ、嫌?そんなに菜月の部屋に置きたい?」
抑揚の無い声で水槽を持つとベランダの方へと行こうとするので、慌てて服を掴んで止めます。
私の部屋は困る……!
『水持ってきます!』
「あ、そう。洗濯機の横に多分バケツあると思うからそれ使って。……零したら菜月に全部床掃除して貰うから。」
『……気を付けます。』
絶対零してしまう、そう思ってしまいました。
『あ、でも金魚は……?』
手に持ったままの金魚を見せれば、キングはチラッと一瞥。
「その位頭で考えて置けば。」