王様の、言うとおり
ここで少し涼んでいたい気持ちもあるけれど、狭いあの袋の中で早く広い水槽で泳ぐのを待っている金魚がいます。
それにキングに見つかったら本気で水槽が私の部屋に……!
それはいけない。
バケツの半分をちょっと過ぎた辺りで水を止めて、タオルを一枚借りてバケツの周りを拭きます。
片手で持ち上げて……。
『ふっ……!』
地味に重いです。
ゆっくりとした足取りで向かいながら、視線はバケツへ。
ちゃぷちゃぷ揺れる水を零さないように注意しながら階段を上ります。
重たい方へと体を傾けているので階段すら上りにくい。
『っ、はぁ……。』
やっとの思いで部屋に到着。
ドアを開けるとすぐに、もう組み立て終えたのかベッドに寝転がるキングが視界に入ってきました。
本当、王様だなぁ。
「遅い。」
『重かったんです。』
ここまで来るのにどれだけ腕が悲鳴を上げた事か。
チェストの前まで来たのは良いけれど、それから先が……。