王様の、言うとおり
話し掛けるのが少し怖いけれど、伺うように小さく話し掛けます。
『……森田くん、ありがとね。』
「何で春日がお礼言うの?」
柔らかい表情に戻った森田くん。
『高原くんの言うとおり、私が勝手にした事だから。』
「……そう。」
『うん。だから、高原くんは悪くなくて……。』
自分でも良く分からないけれど、ありがとう、と眉を下げる森田くんを見て言って、それじゃあ、と背を向けキングの後を追います。
明日になったら私とキングが一緒にいた事、広まっているかもしれない。
そう思えば気持ちは沈みます。
いやいや、森田くんはそんな、広めたりしないはず。
「……菜月。」