王様の、言うとおり
じゅうに。皇子と幼なじみ
【じゅうに。皇子と幼なじみ】
ごめんね、菜月ちゃん……。
帰りの挨拶が済んだ途端、財布だけを握り締めて教室を飛び出していく彼女の背中を見て、申し訳なくなった。
きっと彼女はこれから、俺の親友の機嫌を取り戻すために、飲みたい、と呟いたジュースを買いに行くのだろう。
昼休みも散々捜し回ったらしいが、見つからなかったらしい。
しゅん、として疲れ果てて帰ってきたその姿は可哀相だった。
見つからなかったのは、そりゃそうだ。
簡単に見つかる所に売ってないから。
簡単に見つからない、菜月ちゃんが見つけられないことが分かっていて
わざわざそれを指定した煌の意地悪さはもうどうしようもない。
「……買いに行ったぞー。」
「知ってる。」
見てないようで、何げに菜月ちゃんを見てるんだな。