王様の、言うとおり
煌が頼んだジュースは、本当に限られた奴しか行かないこの校舎の最上階。
東の外れにある音楽室前の自販機にある。
ここから一番遠い自販機でもあるし、その先には音楽室しかないから誰も行かない。
俺は運悪く音楽選択になって、選択授業があって音楽室に行ったついでに買ってるけど。
人があまり利用しないのにそこにしかないジュースがあって。
目ざとく見かけないジュースを飲んでいた俺に気付いた煌に聞かれて、こっそり教えてあげた。
菜月ちゃんは音楽選択者じゃないからなー……。
あそこに自販機がある事事態、知らないだろうし、見つけることは絶望的だ。
教えてあげようと思ったのに、制止されて教えてあげれなかった。
ごめん、菜月ちゃん。
「……あれ、帰らないの。」
「明日の1限の課題片付けてから帰る。」
ノートと筆記用具だけ持って立ち上がった煌。
……珍しい。