王様の、言うとおり
さん。王様は現実的です
【さん。王様は現実的です】
『菜月〜、はいこれ。言ってたマンがね。』
何とか部活動の見送りにも間に合い、私の髪も無事に落ち着いた所で朝教室へ入ると、
私に気付いた友達、奈留(なる)ちゃんが、本屋の袋を片手に持ってやってきました。
何の事か分かった私はパアッと顔に笑みが浮かんだのが自分でも分かります。
「あ!ありがとー!」
差し出された袋をすぐに受け取って、中身をちょっとだけ覗く。
大好きなマンガ。
何ていう名前だったっけ……何とかって言う本誌で毎月連載されているけれど私は買っていなくて。
単行本になるのを待って見てるから続きを首をながーくしていつも待っています。
3巻まで読んだんだけど、その続きはまだ読んで無かったんだよね。
最新刊である6巻が出たって話をこの前聞いて、ついでに読んでいなかった分も借りようってお願いしていた品。
前の席の椅子を引いて、私の方をむいて座った奈留ちゃん。
私も席について、廊下側である机の右半分に鞄を置いたまま、その影に隠れて袋から漫画を取り出す。
たまに通る先生に見つかったら没収だから。
パラパラと捲っていく奈留ちゃんとは反対に、私は前回までの話を思い出しながら1コマずつ丁寧に読んでいく。