王様の、言うとおり
『……煌。』
思わず、声をかけてしまった。
ピクリ、キングの背中が反応して、ゆっくりと顔がこちらに向く。
その目は、なぜ私がいるんだ、と動揺しているようだった。
普段すごく落ち着いているキングからは、見られない目。
『……手首が……。』
じっと黙って私を見つめるキングに駆け寄る。
キングの右手は、床に力なく付けられたまま。
その手首からは、血が出ていて。
血によってどこが傷なのかは分からないけれど、思わず目を背けたくなるくらいの量が床に溜っていました。
絶対に痛いはず。
痛いのはキングのはずなのに、自分もケガしたかのように同じ場所を押さえてしまいます。