王様の、言うとおり
じゅうご。王様の気付けなかったこと
【じゅうご。
王様の気付けなかったこと】
ガチャンッ、
『っ、はぁ、はぁっ……。』
キングの家から、自分の家の玄関なんてほんの少しの距離なのに。
おもいっきり走ってきたから、息があがる。
玄関のドアに背を預けて、呼吸を繰り返します。
「……菜月?」
ふ、とリビングから顔を覗かせたお母さん。
「出かけてたの?」
『っ、う、うん。』
まだ息が荒くて、それを飲み込みながら首を縦に何度か降って、玄関を上がる。
暑いから、一度リビングで涼もうと思い歩きだせば、目の前のお母さんの顔は不審そうな顔をしていて。