王様の、言うとおり
私と奈留ちゃんは首を傾げる。
キングは自分の長めの前髪を軽く摘んで上を見上げた。
『身長。が、足りない。』
「、身長?」
「今何センチなの?」
『178。』
十分、十分高いと思うけど……。
『後2センチ足らない。2センチ伸びれば、もう完璧。』
ニコッと笑ったキング。
奈留ちゃんはへーと笑ってるけど、きっとそんなのもう完璧だ、と言いたそうな顔をしてる。
「あ、席つくね。」
チャイムが鳴り、バタバタ自分の席に座りだす生徒達。
奈留ちゃんも自分の席に戻っていった。
キング、180センチになりたいんだ……。
まだ180になっていない事、気にしてたりしているのでしょうか?
『……現実見ろよ。』
ボソっと隣から吐き出された言葉。
「み、見ますよ。カッコ良い人探すもん!」
優しい優しい人が、きっといるはずだから。
現実を見て、探します。
『いるよ?隣に。』