王様の、言うとおり
じゅうなな。彼女は意外な所に気付くんだ
【じゅうなな。
彼女は意外な所に気付くんだ】
いつも余裕だ、そう言われているけれどそれはただ先を予想して動いているから。
ただそれだけの事だし、落ち着いていると言われるのは大して他のことに関心がないだけ。
無関心、なのは自分でも自覚してるつもり。
だけど……昨日のことは俺にとって想定外だったし、
思わず動揺してしまい菜月を恐がらせる事になってしまった。
海から引き上げた俺達は各自個室でシャワーか大浴場での入浴を言い渡された。
ここに来たんだし、どうせなら広々とした温泉に入りたい。
だけど、今他の奴と会いたくなかったし何より絶対と言って良いくらいに大浴場は騒がしいだろう。
それに、この傷を曝せば誰か必ず食い付いてくる。
特に森田なんかは……絶対面倒、嫌だ。
「煌、上がったー。」
和室で壁に背を預けて正面の壁に掛けられている掛け軸を見ていれば、浴室のドアが開き亮平が出てきた。
大浴場の方に行けばいいのに「煌が行かないなら俺もいかない」なんて言って亮平も個室にした。