王様の、言うとおり



「菜月ちゃん、ビックリしただろ。」

「ビックリ……と言うより怖がらせた。」

昔から精神的に怖かったり何かあった時に眠れなくなるから。



朝から真っ青だったし、危ないな、と見ていたら俺の思った通り立ち眩みを起こした。


―――俺のせい。



母さん、そして血と菜月の精神を崩すことが2つもあって。

せっかく楽しめるはずだった海も寝て終わってしまって。



「まぁ、良いんじゃない?見られたもんはもうどうしようも無いしさ。」



「……。」



ポジティブだな。本当に。




「いつもみたいに菜月ちゃん使ってあげれば?話し掛けられなくてキョロキョロしてた。」

思い出しているのか、口元が緩んだ亮平。



「さすがに、体調不良なのに振り回したりしない。」



「あ、意外に優しいんだ。」

「……元々優しいんだけど。」



ガーゼを部屋の隅に置かれているゴミ箱に投げ入れ、



着替えを出そうと持ってきたカバンを開けた。





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