王様の、言うとおり




「……まだ?」


「待ってって。あ、なんか合わない。」



呆れて亮平の手先を見つめる。

下手だし、汚い。

だけど言っている通り精一杯に処置してくれている亮平に

後は自分でやると中断させる事は出来ず黙って見ていた。



包帯の巻き終わる位置が納得できないみたいで、巻いては少し外し、を繰り返す。




何回も繰り返すせいで最初の方も緩んできたんだけど。

「んー……、これで良いかな。」
「うん。良い。」



「外したそうな顔してるけど……外すなよ。」



外さなくても、時間が経てば勝手に外れると思う……とは言わなかった。

巻かれた包帯を見ていれば、よし、と立ち上がった亮平。





< 319 / 600 >

この作品をシェア

pagetop