王様の、言うとおり
矛盾?
自分が悪いとは認める子は好きだけど、謝る子は好きじゃない?
認めるのに謝らないって、それ、性格悪い子じゃないですか?
キングの趣味が分かりません。
言ってる事が馬鹿な私は理解しにくいけれど、そこは何年も隣人の仲。
次にキングが言いそうな事は、ちょっと理解できます。
『だから、』
「助けてくれて、ありがとうございました……ですよね?」
キングが口を開いたと同時に言えば、キングは言葉を止め少し目を見張ったけれど、
直ぐに満足そうに笑いました。
『正解。よくできたから、今度勉強、教えてやるよ。』
「……いいです。」
『あっそ。……じゃあもう助けて「教えて下さい。」』
分からない所を教えて貰えるのはキングしかいない。
後ろはいないし、前は喋った事無い男の子だし……。
キングはフッ、と笑ってまた寝る体勢に入っていきます。
また寝るんだ。
『あ。』
そうだ、と自分の腕の下に敷いてあったノートを私に投げてきたキング。
私が机の上に置いていた手の上に着地した為、音は出ませんでしたが、滑り落ちそうになって慌ててそれを掴みます。
『写しといて。』
「何でっ!自分で……。」
『菜月は2回書き写ししないと頭に入んないだろ。どうせ。』
どうせって何ですか。
2回って。
なんと意味の分からない理由で押し付けるんだ。
自分が寝てノートが取れないだけなのに。
反論しようと思えば瞳を閉じられ、行き場を失った不満はシャーペンを握り締める手へと向かいました。
今なら折れるかも。
や、折らないけど。お気に入りだから。