王様の、言うとおり



キングの使える方の手はケガしてる。



病院に行けばきっと縫いましょう、そう言われるだろう傷。


それを自然治癒で治そうとしているキングは傷の上にガーゼを乗っけて包帯を巻いているだけで。




少し日にちは経ったから皮膚がくっつき始めてるかもしれないけれど、強く掴まれたりすれば開くかもしれない。


キングに痛い思いは……させたくない。


ここは、健康な私が手を入れるべき。




それは分かるけれど、怖い。


だけど……やらなければ。




『私が……。』




「やってくれる?」

自分では言えなくて。途中で区切ってしまったのを察してキングが続きを言いました。




その声が、優しく耳に届いて。

少しは心配してくれてるのかなぁーって……。



ゆっくり頷いて、壺を見つめます。

中で手がはい回ってると思うと、気持ち悪い。怖い。




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