王様の、言うとおり



『いっ……。』

いきなり上げた声に隣のキングが微かに反応したのが見えて。



持たされた物が紙だと思った瞬間手を抜こうとしたけれど、阻止するように絡まれた手が下に引っ張られて前のめりになる体。


『やっ、』



「菜月?」



抜けないっ!

『ーっ……。』

必死に腕を上にあげようと声にならない声を出しながら持ってるだけの力を出して手を抜きます。



と、キングが冷静かつ無言で繋がってる方の手を使い私の腕を持ちました。


加わる力。



すると、向こうが諦めたのかパッと手が離れて抜けました。


絡んでいた手が離れて今度は後ろに傾く体。



ふらつく足元で、転ばなかったのはさりげなくキングが支えてくれたからです。

「……大丈夫か?」



何事も無かったかのように静かな理科室。



キングの声も無視して、出口のドアへと向かいます。



キングも無視した事を気にしていないのか、抗うことも無く付いてきてくれている事が分かります。




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