王様の、言うとおり
2つ目が終わったぁ……。
理科室を出て廊下に足をつけた途端力が入らなくなってペタン、と座り込んでしまう体。
「……大丈夫?」
もう一度。
さっきと同じ質問を繰り返され、今度は首を縦に振ることで応えました。
皆、この恐怖を経験して帰ってくるの……?
低い視線で見た廊下の先。
あと、ひとつ。
次はどこだっけ……早く行かないと。
立ち上がる為に左手を床につけようとして、視界に入ったそれ。
絡まれた手は、どこにも異常は無くて、でも誰か分からない人物に触れられた事に嫌悪感を覚えて。
―――冷たくて、気持ち悪い手だった。
ズボンで手汗を拭うように拭いてから、立ち上がります。
『あ、ありがと……。』
立ち上がる時にさりげなく引っ張って助けてくれたキングにお礼を言おうと顔をあげて……。
思ったよりも近い距離に、目を見開いてしまいました。