王様の、言うとおり



手をどうにかする事に必死で、いつの間にか涙が流れてたんだ……。



素直に感想を言えば、そう、と息を吐き出したキング。


「……ごめん。最後、行こう。」




その言葉に、黙って頷けばキングが先に立って、歩く。



さりげなく言われた、ごめん。



その言葉をこの合宿中に何回聞いたかな。

いつもワガママで勝手なのに、トーンを落として告げられるその言葉は、言われ慣れてないからかな。




胸に、チクチクと衝撃を与えられました。




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「ラスト、保健室。」

もう、ヘトヘトです。


ガラ、と音を立てて開いたドア。


少し警戒するのか、すぐには中に入ろうとせず、中を覗き込むキング。




首を傾げる私を一瞥してキングは中を一通り確認すると、

「足音立てないように。気配消して。」

耳元でそう言われ、黙って頷くと口角を上げて中へ入るキング。



私も言われた通りに音と気配に気を付けながら続きます。




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