王様の、言うとおり
暗い坂道を歩きながらキングに話かけてみます。
海岸線に出たのか、遠くから波の音。
繋がってる手も、もう少しで終わりですが大分慣れてきました。
少し先には明るい施設……あそこがゴールで、もう怖いものもありません。
「キャーキャー言ったりごちゃごちゃ喋って自分の居場所を教えながら歩くから脅かされるんだよ。」
『……なるほど。』
納得。
脅かす人が人間なら、気付かれないようにすればいいってことですよね。
「きっと悔しがってると思う。」
『気付いたらもう通り過ぎてたんだもんね。』
「どうせなら……ドアの所で待ち伏せといて悔しそうにドアを閉める所、見てあげれば良かった。」
暗がりでそんな事を笑顔で言いながら歩くキングは、不気味です。
『でも……本当に怖かった。』
「菜月にしては頑張ったと思うよ。理科室。」
『あれは頑張ったよ!もう絶対しないけど……って……。』