王様の、言うとおり



「元々優しいけど?……菜月は優しくされたくないの?」


優しい方が良いか、優しくされない方が良いかなんて聞かれたら。



優しい方が良いに決まってる……!

慌てて首を左右に振ると、キングが音を出さずに笑ったのがわかりました。



「……けど。感謝して欲しいよね。」


『な、何を?』



「この肝試しのパートナー。怖がりの別の男じゃなくて俺で良かったね。」


『あ……あぁ、ね……。』



確かに。




怖かったのは怖かった。



だけど、キングが冷静だったから、どこかで安心していた自分もいました。


2人共怖がりだったらパニックでかなり時間がかかってしまうと思います。



その前に、道を間違えた時点で途方に暮れてる気が……。




「後は花火かー……。もう始まってるみたいだし。」



『え?』



見下ろすこの道の先には色とりどりの光源。そして騒ぎ声。




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