王様の、言うとおり
シュー……
音を立てながら勢い良く火花を飛ばし始めた花火。
火薬の匂いが一段と濃くなります。
少し蝋燭から移動して、自分の花火を膝と胸に挟み込むようにしてしゃがむ。
「廃校、どうだった?」
隣に座り、花火に負けない声で話し掛けてくる奈留ちゃん。
ピンクの炎を出す花火をじっと見つめながら、思い返すのはさっきの恐怖体験。
『行く途中……私、道間違えて遭難しかけて。』
「わー……いきなり大変だったね。」
『……うん。それで煌が……。』
そこで区切って一応周りを見渡して確認。
大丈夫。先生もいないし皆からも離れてる。
『携帯、持っててそれ使ってなんとか学校について。』