王様の、言うとおり


こっそりと携帯、と言う単語を出す。


キングが携帯を持っていっていなかったら今頃まだあそこで途方にくれていたかも。


「どうやって先生の目を掻い潜ったんだろ。」



『それっ!私も不思議に思ったんだけど、教えてくれなくて。』



一緒にチェックは受けたし、先生は容赦なく体をバシバシ触ってチェックしてたのに。



不思議。




「やるね、あいつ。」

それで?と先を促されて、記憶を辿ります。




『学校に着いて、音楽室でベートーベンに追い掛けられて、理科室で手捕まれて、あーっと……あ、でも、保健室で煌が頭使って脅かされずに済んだの。』


自分で言いながら、すごくアバウトな説明だと思う。


唯一怖くなかったのは保健室くらいかな……。




いつ起き上がるのだろうかとドキドキしてたけど。

「怖かった?」



奈留ちゃんは器用に新しい一本を手に取り、今持っている花火の先に近付けて火を繋いだ。




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