王様の、言うとおり
私は……失敗。
火が無くなって蝋燭の所までつけに行こうとすれば
奈留ちゃんが無言でたった今繋いだばかりの花火を差し出してくれた。
ありがとう。
『すっごく怖かった!』
もう二度とするもんか、と思うくらいに。
「あいつに意地悪されなかった?」
あいつ……キングに。
『されな……かった。』
「こういう時にしそうなのにねー。」
うん、と共感の意味を込めて大きく頷く。
私が音楽室でベートーベンから紙を取らなくちゃいけなかった時も、
理科室で坪の中に手を入れなきゃいけなかった時も、
意地悪……と言うよりもキングがケガをしてるからしょうがないって感じだった。
道に迷った時も……。
よく考えれば、本当に。
私が違和感を感じるくらいに優しくて、意地悪されなかった。