王様の、言うとおり

にじゅうさん。王様と二人だけの花火




……。

『落ち着きたいから、頼む。帰って。』

そんな言葉を最後に3日が過ぎました。



いつになったらキングは落ち着くのだろう。いや、家庭事情が複雑ですぐに落ち着いたりできるはずは無いと分かっていますが……。


部屋から見えるキングの部屋の窓が開くことは一度もなく。カーテンすらも開いているところを見かけなくて、部屋にいるのか、リビングにずっといるのか。


まったくキングの生存状態が分からない状態です。




……普通ならこれが当たり前で、

いちいちお隣が何をしているのかなんて気にしたりしないのに。

むしろ、



毎日のように話しかけられていていいように脅されて使われていた状態から解放されて喜んでもおかしくない状態なのに。


あんなことを目撃してしまったからか。気にしない、なんてできなくて。




親に、あんなことされたことない私はああいう、

状況はドラマの中やマンガでしか見たことがなかった。

実際にあったなんて……



キングはどういう気持ちだったのかな。そう思うといたたまれないのです。



だからと言って様子を見に行く、なんて勇気も出ません。

行ってまた拒絶されたら。どうしたらいいか分かりません。

ただ、窓の外を見て、開く様子もない静かな隣の家を見て小さく息を吐き出すだけです。



もうそろそろ夕日も近くのマンションの陰に隠れて消えてしまいます。……今日も結局窓、開かなかったな……。




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