王様の、言うとおり
固まる菜月を置いて、施錠をしてからバス停へと歩きだす。
「ちょっと、クッション。」
その場から叫ぶ菜月を見上げる。
『いいじゃん。帰りに取りに来れば。……ついでに夕食作って。』
言うだけ言って、菜月の反論は無視。
菜月の方を振り向かずにしばらく歩き続ければ、すぐに走りよってくる足音が聞こえて、俺は自然と口元が緩んだ。
「周りにバレたら大変なことになる……。」
『だから内緒にしてあげてんじゃん。いつでも言っていいけど?』
「や、それは…っ、」
『秘密な関係みたいなのもいいかもね。』
いつもと違うやり方も
いいかも。
たまには、マンガみたいなやり方でも。
結構、楽しいかも。
しばらくは、菜月の希望通り、秘密、で。