王様の、言うとおり
嫌だとはいえ、年に1度しか無いお祭り。
気分は上がります。
本当は行くつもり無かったんだけどな。
ちょっとリスクはあるけれど、それさえ気をつければ良いことづくしだし。
よし、帰ろう。
『お邪魔しましたー……。』
玄関へ。
行こうと立ち上がって歩きだせば、
「菜月。」
また止められて。
『何ですか。』
まだ何か用事が、と振り返れば。
「玄関。菜月ん家鍵開いてないよね?」
『………。』
「鍵持ってる?」
『まさか。』
そ、こまで考えて来てない。
答えたと同時に、これから先の事が頭を過って血圧が一気に下がっていくのを感じました。
良く考えれば靴、も持ってきていない。
いや、それはちょっとキングの家のを拝借してとしても……
こんな時間に家のドアが奇跡的に開いてるはずがないし。
開いてたらちょっと無用心すぎて逆に心配します。
「頑張ってね。」
笑いながら手を振ったキングを無視して、泣きながら二階に向かい、もう一度死にそうな思いをした状況は、もう言葉に表せません。
帰ってすぐ、絶対に次もあると思い窓の横に『鍵!』と書いたメモ用紙を貼りつけておきました。
【ご。王様と朝御飯】
リクエストは細かいですが
文句は言わないみたいです。
(早起きするのは、
少ない休みを
有意義に過ごしたいからで)
(朝のコレ、実は祭りに
絶対に菜月が行きたくなる事を
想定した
計画的犯行なんだよね。)