王様の、言うとおり
はち。王様直々のお迎え
【はち。王様直々のお迎え】
無視された。
私の顔を見た後、ふいっと逸らしたキングの表情が頭の中で何回も何回もリピートされて。
その怒りにすたすたと足元ばっかり見ながら、人の流れに身を任せて歩いていると、
『ここ、どこ……?』
歩きやすくなったなぁ、と気付けば、人通りが少ない所まで来てました。
鳥居があるから、まだ神社の敷地内、と言うのは分かります。
きっと、裏の方かな……?
裏の方には来たことが無いから道はいまいち分かんないけど、きっとどうにかなる。
歩いていれば、知ってる道に出るだろうし。
疲れたので、鳥居のすぐ下の階段に腰掛けます。
ざわざわと騒がしいのは少し距離の離れた向こうの方。
……時々通る、カップルを見て、悲しくなります。
彼氏、ね……。
京くんみたいな人、いないかなぁ。
俯いて、膝の上を見ればはしまき。
さっきまで暑かったのに。
人混みを離れて、静かな外れまで来れば下がる体感温度。
心地よい温度が膝を温めて、あったかい。
良い匂いも届いてきて……お腹が動き出します。
夜は出店で沢山食べるからとお昼を少なめにしたもんなぁ。
ここに来てまだ何も食べてない。ただ、はしまき買うのに使われただけだよ。
……2本とも、私が食べちゃおうかな。
キングは自分で並んで買えばいい。
今頃……あの子達と回ってるのかな。
ちゃっかりしてるキングのこと。上手い具合に立ち回ってあの子達にはしまき買わせたり……。