王様の、言うとおり




触ってみたら石のようで。ひんやりザラザラした感触がまたなんとも不気味で……。


見上げた鳥居は大きくそびえ立っています。


『暗いし、怖いし、人いないし……。』

グズッと鼻を啜れば、向こうからははぁー、と溜息が聞こえてきました。



[自分でそこに行ったんだろ。]



『………、』



[自業自得。]


ブツッ、



さっき私が切った時もこんな感じだったのでしょうか。



会話の途中で思いっきり切られた電話。

回線が切断された音が大きく響いて、

そのあとはツーッ、ツーッと寂しい音がひたすら続きます。



腕の力が抜けてしまい、ケータイを持ったまま下がる手。

――……自業自得。



そうですよね。

自分で来たのに分からないって。

おまけに怖くて動けないだなんて……。



キングが言ったことは間違ってません。でも、言う?




私がどこで困っていようが知らない、

どうでも良いって思うってことですか。

ポロッと零れた涙。



惨めな気持ちがより一層……。




今思えば、キングに文句、と言うか楯突くような態度を始めに取ってしまった私に後悔。

イラっとして変な所へ行ったりしないでそのまま帰れば良かったのに。


―――――それにしても。




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