王様の、言うとおり
また、引っ掛けられました。
悔しい。
「……そんなに迷子になって怖かった?」
『迷子じゃないもん。自分できたから。』
「でも、居場所が分からなかったんだろ。」
『………。』
「それを迷子って言うんだよ。」
高校生にもなって、迷子だなんて酷い。
頑張れば家に辿り着けると思っていて、動こうとしていたから迷子では無いと思いますけど。
真っ直ぐ目の前のキングを見れば、薄暗い中浮かぶ楽しそうな顔。
『……私、怒ってるんだからね。』
そうだ。何事も無いように笑ってるけど。
こっちは傷付いたんだから。
「“京くん”?」
『違う!』
どうしてそこで京くんが出てくるの。
「じゃあ……はしまき買いに行かされた事?あれは楽しそうに買いに行ってただろ。」
『違います!それに全く楽しく無い顔で行きました!』
どこ見てたの。どこが楽しそうだったの。
節穴め。
「じゃあ何。何に対して怒ってんの。」
もう心当たりが無いのか面倒臭そうに聞いてきたキング。