王様の、言うとおり


『……無視した。』


「は?」



言って、こんな事で怒って。とキングに笑われるのがちょっと恥ずかしくなってきてキュッと膝に顔を埋める。

はしまきのパックが、弾みで音を鳴らした。

『さっき……煌の所に戻ったら、目、合ったのに気付かないふりしたじゃん。』



別に彼氏にされたとかそんなんじゃないし小さい事かもしれないけど。


私にとっては、あれは誰にされても傷付くものです。



「……あぁ。あれか……。」



ボソボソと膝に埋めながらくぐもった声で言った私に、しばらく黙り込んだキング。


思い出していて、やっと見つけたみたいです。



「そんな事か。」




『そんな事……?』




まるで悪気の無いその言い方。

「……菜月。顔上げろ。」

『やだ。』



「上げて。」




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