こんぺいとう【2】
「あーっ、生き返る!」
「……大げさ。って言うか、ほんとに悪魔だよね」
「小悪魔?」
「いや、もはや大魔王だよ」
「えー」
「えー」
深夜の2時過ぎに、俺の車の助手席に乗って寛(くつろ)ぐ女。
最近染め直したというショートボブは、茶色く(いや、金色?)になっていて。
そのくせ化粧はごく薄く、近くで見ないと塗っているかも分からないレベル。
それが恐ろしく彼女に似合っていて、会った瞬間に息を呑んだ。
『りょうちゃん、海見たい』
この人がわがままだってことは、多分、他の誰よりも俺がよく知ってる。
そんなわがままを俺が断れないことを、彼女もまたよく知っていた。