こんぺいとう【2】
「卒業、おめでとう」
「翔くんも、おめでとう」
貰ったばかりの卒業証書、胸元に付けられたリボン、早咲きの桜、涙の声、歓声--。
卒業したんだ、私達。
じわじわと実感が湧いてくる。
涙はない。泣き方なんて、忘れてしまった。
「卒業、しちゃったんだな」
「ほんとにね。あっと言う間だったよ、この3年間」
「でも楽しかった」
「……うん、楽しかった」
こうして、翔くんの隣を歩くのも今日が最後。
明日からは別の道。
決して交わることのない、さよならの別れ道。