こんぺいとう【2】
「咲々、風邪引くよ」
起きる気配のない咲々の肩を揺らしながら話しかけても、どうやら無駄らしい。
そういえばこの前、今日は咲々の仕事も追い込みだって言っていたし、相当ハードな日だったんだろう。
ベッドまで運ぼうと咲々の上体を起こすと、ゆるゆると安心しきった寝顔が見れた。
「......咲々?」
その目元から溢れたのは涙だった。
「......ん、」
「っ」
腕の中でピクリと動いた咲々は、まだふやけた瞳に俺を映していた。
「ぅあ、え......ケイ?」
「あ、うん、ただいま」
「寝ちゃってたんだ、ごめん」
「いーよ、もう寝な」
「やだ、」
「疲れてるんでしょ?」
「んーん、」
いつもなら必要以上にベタベタするのを嫌う咲々。
こんなに抱き締めていれるのは、咲々がまだ寝惚けているからだ。
彼女の肩に顔うめてしっかりと腕の中に閉じ込めると、「くすぐったいよ。」と不満気な声が降ってきた。